徒然只野日記

つれづれなるままの日記です

「十字軍物語〈3〉」を読む

十字軍物語〈3〉

十字軍物語〈3〉

 
 あらすじ

サラディンによって聖地イェルサレムを追われた危機から、ヨーロッパからは十字軍が陸続と起こった。「獅子心王」の異名をとったリチャード一世。十字軍を契機に飛躍するヴェネツィア。巧みな外交戦術で聖地を一時的に回復したフリードリッヒ二世。二度の十字軍を率い、「聖人」と崇められたルイ九世。しかし、各国の王の参戦もむなしく、最後の牙城アッコンが陥落すると、二百年に及ぶ十字軍遠征に終止符が打たれることとなった―。中世最大の事件がその後の時代にもたらしたものとは何か、そして真の勝者は誰か。歴史に敢然と問いを突きつける、堂々のシリーズ完結編。

感想

★★★★☆

獅子心王リチャード1世 VS サラディンの第三次十字軍を中心に、その後ルイ9世の第八次十字軍までをまとめた完結編。

 

リチャード1世はなかなかカッコイイ人物像で書かれています。
フランス国がリチャード1世のイングランドにちょっとかいを出したために1年くらいで休戦ー帰国となってしまいましたが、フランスがちょっかいを出さなかったらまた歴史は大きく変わったんだろうなぁ。


イスラム側も英雄サラディンやその弟アル=アフダル、さらのその息子で第六次十字軍にも関係するアル=カーミルなど、歴史的つながりがわかって面白い。リチャード1世とアル=カーミルとの騎士の叙勲のお話など戦争状態でありながらも微笑ましく感じられる逸話でした。

 

第四次十字軍以降からは少々駆け足で進んでいきます。

 

十字軍として集まったのに、なぜか同じキリスト教国を攻めることになった第四次十字軍。ほとんど戦闘をせずにイェルサレムを奪回できたのにローマ教皇から毛嫌いされて破門されたフリードリッヒ二世及び第六次十字軍とか、第七第八次十字軍で致命的敗北をしながら聖人に列せられるルイ九世。などなど

十字軍やキリスト教国のために命を賭けて戦い続けたテンプル騎士団の悲劇的な最期なんかはもう、読んでいるとやるせない気分になってきちゃいますね。宗教ってなんなんだろうって。

 

いままで名前は知っていてもよく知らなかった十字軍が少しでも知れて、とても興味深く楽しく読めました!