徒然只野日記

つれづれなるままの日記です

神がそれを望んでおられる「十字軍物語〈1〉」(塩野七生)を読む

十字軍物語〈1〉

十字軍物語〈1〉

 
 あらすじ

長くイスラム教徒の支配下にあった聖都イェルサレム。一〇九五年、その奪還をローマ法王率いるカトリック教会が呼びかける。「神がそれを望んでおられる」のスローガンのもとに結集したのはキリスト教国の七人の領主たち。ここに第一次十字軍が成立した。さまざまな思惑を抱えた彼らは、時に対立し、時に協力し合いながら成長し、難事を乗り越えていく。ビザンチン帝国皇帝との確執、小アジア横断、大都市アンティオキアを巡る攻防…。そしてイェルサレムを目指す第一次十字軍の戦いはいかなる結末を見たのか―。

感想

★★★★★

もちろん名前は知っていますが、ボヤッとした知識しかなかった十字軍。
なんとなく十字軍はグダグダな感じで終わったようなイメージを持っていたのですが、少なくとも今巻の第一次十字軍はなかなかエキサイティングな展開で最後まで目が離せませんでした。

 

登場人物たちも魅力的というか個性的な感じで、日本人には馴染みが薄いであろう、ボエモンド、サン・ジル、ゴドフロアがなかなかいい味を出しています。
1人の強力で天才的な主人公(リーダー)がいるわけではなく、仲間(諸侯)たちがいがみ合ったり反駁したり時には協力したりする様子が面白かったですね。


最初のうちはただのサブキャラと思っていたタンクレディとボードワン。
部屋住みの次男三男で著者からもチンピラとか書かれていたこの2人が、後半には立派に成長して国を任され盛り立てていくようになったところは、豊臣秀吉の出世物語を見るような爽快感すらありました。
まぁイスラム側からみたらいきなり現れたハタ迷惑な侵略者たちってなるんでしょうけどね。